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Sunday Without God Ⅸ

あらすじ

「私、死んじゃったんですね・・・」

アイは、土曜の朝に死んだ。ユリーも、傷持ちも、ディーも、ウッラも、
それぞれがアイの死を受け止めた。

そして、皆が思った。

「アイ、キミは、これからどうするの?」

死者として埋葬されるのか、このまま在り続けるのか・・・。

アイは待っていた。
脅威なき世界の魔弾となったアリスと、悪なき世界に舞い降りた魔女の娘を―。

世界の終わりに出逢った少年と少女。
ふたりは奇跡を起こせるのか―?

墓守アイの願いの物語、ついに完結。

感想

神さまのいない日曜日の9巻

最終巻です

前回の最後・・・世界を救うために全てを救おうとする『魔女』の少女・ナインと
それを殺して世界を救うために悪という概念そのものを撃ち抜く
『魔弾』となった少年・アリス

それをとめるために身を投げ出した、少年が信じる最後の悪となるはずだった
主人公・アイの捨て身の行動でそれは止められ・・・最悪は避けられたと思ったら
その時には・・・

アイの心臓はとっくに止まっていた

という凄いオチで終わってかなり気になっていたんですが感想がここまでずれたのは
実は鬱展開を恐れてなかなか読めなかったからだったりします・・・
切なくて辛くて厳しい現実・・・でも希望が残ってる・・・みたいな終わりも嫌いじゃないんですが
やっぱりハッピーエンドが好きなものでこう・・・読もうとして、いや待て他のを・・・って
感じで先伸ばししていたんですが・・・ついに読破しました・・・ええ・・・

俺も葛藤を返せ!!

というわけで・・・あれー?なんか基本的にいつものノリだ・・・ってか

アイがなんかもう無敵だ!

今まで色々な事に打ちのめされて夢すら自分で捨ててしまって傷ついて
それでもなんとか頑張ってきた・・・その過程でアイが学んだ事、そしてその中で出会った
さまざまな人々・・・それらのおかげでなんか元気でしたね・・・アイ・・・死んでるけど・・・
挿絵とか完全に瞳孔開いちゃってるしね・・・orz

もちろん完全に・・・ってわけではなく当然ながら自分が死んでしまって『死者』になってしまった
という恐怖とか、生きていたかったって想いは当然持っていてそれを吐露しているシーンもありますが
最終的に自分がこれからどうするかを・・・自分で決めて・・・
それでも最後の悪あがきをしようとする相手を嗜めて、ぶちのめして

イチャイチャして

それで笑顔でした・・・なんか読んでいて先に進めは進むほど読んでるこっちも
元気になっていく感じがしましたね・・・死んでしまった恐怖とかの吐露は
流石にしんみりしましたけど・・・それでもこの作品特有というべきか

死んでもよかったと思える事がある

ってのが・・・アイの笑顔に繋がってくれましたからね・・・
死んでも『死者』として生前と同じように動ける世界・・・異常で完全に狂ってるけど
だからこそ異常の世界の通常が・・・普通の世界からしたら異常な常識があって
徐々にそれが世界中に浸透してきているからこその希望でもあるわけですが。

まぁ読み手側からしたらそれはもう狂ってるとしか言いようがなかったとしても・・・

さてとりあえずアイの死に関して起こったことを書いてみると


・家族の反応

ユリーがまた娘を失った・・・と狂乱
アイを守ろうと暴れまくり、さらに自分の娘と間違えたりとかなり危なく
危うく・・・一線を越えそうになってましたね・・・

もしあのまま誰も止めなかったら異能力が目覚めてしまってたかもしれない状況
ってくらいでしたが

傷持ち(スカー)のビンタ一閃

で正気に・・・傷持ち(スカー)が『墓守』だから・・・とか警戒し始めたり
なんかもう一杯一杯になってましたね・・・ユリー

でもビンタで正気に戻ってようやく普通に悲しんで泣き叫んでましたね・・・
自分が死んだって理解したアイの方が彼の動揺っぷりに冷静になってたくらい
狂ってましたからね・・・ようやく普通に悲しめた感じ

そしてアイの死ですら傷持ち(スカー)にとっては人間としての成長に・・・
アイの死に関して自分が感じている感情がわからない傷持ち(スカー)・・・
アイに自分で決めなきゃ駄目と言われ・・・

それを悲しみと定義・・・そして涙

すっごく切ない・・・傷持ち(スカー)の成長のきっかけでしたね・・・
この時点では本当に初期の頃のセリカも加えた4人だけでアイの死を共有して
悲しみつつもこれからの事をっていう・・・

家族の問題

って感じがしてとても良かったですけど・・・いや、アイ死んでるんですけどね・・・
うーん・・・ここらへんの認識が難しい・・・というか文章で書くと変になってしまう
本編を読んでるときはこの世界ではそれがありえる・・・って前提で入っていけるんだけど
こうやってブログを現実で書いてると・・・違和感バリバリですね・・・

死んでるのに家族でこれからを当人も含めて考えていく・・・って・・・

なにはともあれ傷持ち(スカー)はより人間らしく・・・そして女性らしくなっていき
ユリーはあいかわらず親バカだったけど・・・今回は娘の死については乗り越えられたかな?

たとえアイが死んでしまっていても、彼女が笑っているなら・・・幸せだ
不思議だけど幸せだ・・・って感じてましたし。

それでもユリーは最後までアイが終わる事を・・・埋葬される事を望むんじゃないかと恐れ
やめてくれ・・・って心配していたんですけどアイがわりとあっさりこのまま存在する事を
決めたので・・・それもよかったのかも。

その後はアリスの件も含めて年頃の女の子の父親として・・・
そしてアリスの保護者として二人を見守って・・・父親役を全うして・・・

ああ・・・まじいい家族だ・・・

アリスとディーを含めて・・・普通の人間と言えるのがユリーしかいない家族
だけどこの作品に登場しているキャラの中で一番幸せな家族はこの家族ですからね

一番異常なメンバーが揃っているのに父親がいて母親がいて
息子や娘・・・そして今はもう存在しないはずの赤ん坊までいる・・・凄く幸せな普通の家族


・友達の反応

これはもう・・・アイの今までの軌跡の成果・・・みんながみんなそれぞれ
アイの死について反応してますね・・・

ディーは最初、祝福しようと決心して会いに行き・・・眠るように死んでいる・・・
死んでいるように眠っているアイを見て・・・

号泣

ディーの今の夢は普通の常識を全部壊して、『死者』と生者や『幽霊』や『魔女』・・・
そういうのが全部一緒に暮らすのが普通の世界を作る事
だから親友が死んだくらいで悲しんでたらおかしい・・・そう思っていたのに号泣

目のあたりにしてようやく・・・アイの死を認識して一発でしたね・・・建前全部崩壊

ってかディーは可愛いなぁ・・・本当に・・・

『西方の魔女』としている時は策略を考え、時に人を容易く陥れる存在
だけど素の顔を普通の可愛い女の子なんですよね・・・
しばらくアイに抱きついて話してましたし・・・

もうアイの意思とかどうでもいいから最終的には駄々をこねまくってでも
アイの埋葬阻止をしようと考えてましたからね・・・アイ、大好きだな・・・ディー

次にゴーラ学園で出会ったターニャとゲーテンバーグ3姉妹

ターニャは新世界に両親と共に行くためにオスティアを訪れ
アイと再会・・・目の見えない彼女はアイを自らの異能で認識したんだけど
目で見るよりよほど正確に認識できる彼女がアイを前に何度もその力で
アイの存在を確認して・・・最後は言葉で確認する・・・・そうまでして彼女は
自分の力が認識したアイの現状を認めたくなかったみたいで
ごく普通に悲しんで・・・そして無茶したアイを叱ってくれた

そしてディーと同じように素直に・・・『魔女』の力で生き返れないの?
とナインの力に頼ってでも生きていて欲しいと願ってくれた・・・いい友達だ・・・

ゲーテンバーグ3姉妹は知り合いを亡くした経験があるのか
あまり騒ぎ立てずに残念だ・・・って感じでしたがこの状況だとこれはこれでいいのかな?
アイ自身が自分の死で周りの人が激しく悲しむのは嫌だったみたいだし

ディーも含めてここまでは全員が全員・・・アイの死を悲しんで
生き返って欲しいと願ってくれた人達

そして友達勢のラスト・・・

オルタスの姫。コロシオハケ・・・ウッラ降臨

という事で

見られたら即死・声をかけられたら即死・触れられたら即死

な超絶最強即死能力者のお姫様・・・オスティアとの交流のために来て
ディーや他の能力者すらがたがた震えるほど恐れていたウッラ

だけど彼女がまず優先してやったのは

姉と友達に会う

という・・・なんとも女王様なものでしたね・・・セリカとアイに会いに行くとか・・・
まぁぶっちゃけた話・・・彼女が外交とかパーティーに出席とか

生者がいたら無理

なんですけどね・・・一応厳重に拘束して筆談で済ませればできなくはないが・・・
そしてウッラは友人勢で唯一、アイの死を喜んでくれた存在

何故なら前に会った時はほとんど会ったとは言えない状態であり
アイが死んで自分の能力の影響外の存在になったからこそ
ウッラとアイは普通の友人同士として顔を合わせられるから・・・

ウッラの存在は↑で書いた死んでしまった悲しみと恐怖を吐露するのにとてもうってつけで
2巻のあとのイザコザでウッラ自身も『死者』になっていた事もあって
唯一、それについてぶつけられた貴重な友達でもあるわけで・・・
周りのあまりの悲しみように逆に慰める立場が多かったアイにはとても助けになった感じでしたね
それにしても

死んでてくれて、良かった

って言った後に窘められて失礼だった?と確認してたウッラ
オルタスは完全に死が日常の一部になってるだけに・・・完全に思考パターンが
普通からすると異質ですね・・・


・世界の救済者 兼 破壊者

ラストは世界を救おうとして世界を滅ぼしてしまいかねない
そしてそれがわかっているのに変えられないどうしようもない二人

ナインとアリス

二人はアイが自分の行く末を決めると考える時間を貰った三日間ずっと
追いかけっこをしていて・・・アリスはナインにアイを生き返らせようとして・・・
ナインはそれをしてしまえば・・・復活を望まないアイを復活させてしまえば
自分の『全ての人の望みを叶えて世界を救う』って夢が失敗するとわかっているから
逃げ回っていたみたい・・・もちろん

アイを・・・おねえちゃんを生き返らせたい

というナイン個人の想いが強く存在するために捕まって連れて行かれたら・・・
って恐怖が大きかったみたいですが。

実際、アイはナインに失敗させようとしていたし、アリスもそうできるならそうしたほうがいいと
思っているからこそってのがあったんでしょうけど・・・

ナインは意思を変えない

アリスに脅され・・・アイへの罪悪感を抉られ・・・アイ自身に復活を望んでと頼むも拒絶され
それでも・・・ナインは夢を諦めない・・・諦めきれない

いや・・・これはどうなの・・・

ぶっちゃけた話、諦めたほうがいい気もするんですけどね・・・それでも夢を追う
そしてアイはそこまでの決意があるなら好きにすればいいと応援
だけどそんなアイこそがナインにとっては願いを叶えてもらおうとしない
最大の難敵で・・・最終的にはアイの存在が最後の最後でナインがこの世界に繋ぎとめられる
一線になった感じですね・・・

『死者』蘇生すら可能な万能の存在にあえて願わない

そんなアイだってナインに負けず劣らず頑固ではあるんですけど
1度頼ったらずっと頼っちゃうって二部分もあるでしょうしね・・・

そしてラストを飾るアリス・・・

こいつは放っておいたら駄目だ

って事でナインに好きにしろと言っておいてアリスは駄目だというアイ
その根本にあるのは

アリスが好き

って感情であり・・・

え?気づいてなかったの!?

って感じでした・・・アイはどうやらマジで恋愛感情に無自覚だったみたいで
アリスからソレを指摘されるというなんか凄い恥ずかしい事態に・・・
アリスはアリスでなんかもう開き直っちゃったのか普通に好きだって告白しちゃってるし
ここにきていきなり・・・

あれ?イチャイチャしだしたぞ・・・深刻な雰囲気どこいった

って感じになってしまってましたね・・・アリスが原因でアイは死んだけど
気にしてるのが実はアリスとナインだけで回りは彼らのせいじゃないって
きっちり理解して戻ってくるのを待ってたわけだし・・・

いい人しかいないな

誰一人・・・周りの人間はアリスを責めなかったし・・・だからこそアリスは
自分自身を許せないっていう・・・変な意地をはっちゃったんですかね・・・
ナインは意思を変えなかったけど・・・まだ最悪に至っちゃう前で止まれる余地があるけど
アリスは自分が下手をしたら世界を救うために世界を滅ぼしてしまうと
わかっているのに・・・自分の行動をやめられず、そして変えられない
そうした方がいいとわかっているのに無理

だけどアイの事だけはどうしても助けたい・・・という我侭
本当の最後の最後・・・

アイの存在だけで繋ぎとめられている存在

それがアリスって感じで・・・もし離れればあとはただ鋭く尖っていって
そういう存在になってしまうだけだと本人が感じてましたから・・・

もうお前らずっと一緒にいろよ!

そんな感じでしたね・・・まぁそれでも変われないアリスはアイを眠らせて
アイの心臓が止まった原因・・・自らの心臓が転じた『魔弾』がアイの心臓にあるのを
わかっていたから・・・それを彼女に託して蘇生する事に

そっちがほぼ本体なのに・・・って事でそこまでやっちゃえるあたり
やっぱりアリスは危険なのかもしれませんね・・・

結局、アリスはアイに心臓をあげて・・・でも死が無くなって『死者』が動くように
実は生もおかしくなっていたこの世界では特殊な状況で心臓を失ったアリスは
一応生きている存在としてそのまま存在して・・・
アイは寄せ集めであるキリコのようにアリスの心臓で生命活動再開したけれど
あくまで分類上は『死者』であり完全な復活ではない・・・って結果に

アリスはそれでもアイの蘇生の方法を求めて1人旅に出る事にし・・・
ディーはアリスが今までどんな気持ちだったかわかり・・・謝って泣いて告白してそして別れ
そして

アイとアリスは一緒に旅へ・・・

って事でそうは問屋がおろさないと普通にアリスはアイにくっついていきました
そりゃそうだ・・・アイがいなきゃアリスがどんな事をしでかすかわからないし・・・
アリスの心臓だって返したいってアイなら思うだろうし・・・
お互いそれはゆずらず・・・おそらくずっと一緒にいるんだろうな・・・そんな感じで終わり

公式サイトでアフターが5ページほど掲載されていてそっちではアイの故郷に
お墓参りに行く話があるんですが口論しながらも一緒に楽しそうに
旅をしていたみたいだから・・・二人が一緒にいる限りは大丈夫そう

読む前は結末が不安だったけど・・・アイが家族や友人と話して元気になり
考えて・・・結論をだすって過程で引き込まれていって

ラストはいつのまにかアリスと自覚なしにイチャイチャしだして・・・

オイオイお前ら・・・

ってなって・・・そして最後はしっくり・・・誰もが幸せで納得できるエンディングではないけど
それでも笑顔で先に進んでいける・・・そんな終わり方でほっこりって感じでした。

これでシリーズ終了・・・寂しいような・・・満足のような・・・そんな感じです

作者さん・・・お疲れ様でした。

新作も用意してるみたいだし・・・とりあえず実際に発売してあらすじとパラ読みして
買うかどうか決めようかと・・・まぁ・・・あれだ・・・

面白かったです!

これは間違いない。ってかあれですね

アイが笑顔で幸せそうだから満足

って部分が多いですね・・・この世界が今後どうなっていくかはおそらく
色々と大変で・・・アイの知り合いたちは総じてその中心とかで色々と起こしそうだけど
なんだかんだでうまくいくんじゃないか・・・そんな感じです

それにアイの夢であった世界を救いたいってやつも・・・
実は一番危険なナインとアリスを自身の存在を持ってなんとか繋ぎとめているアイは
ある意味で・・・現在進行形で世界を救ってるんじゃないだろうか・・・とも思いますね。
もちろんアイが思い描いていた形ではないですし・・・狙っているわけじゃなくて
ただ純粋にナインとアリスを心配してるだけってのが彼女らしいですが

では感想はこんな感じで・・・でもやっぱシリーズ終了は寂しいなぁ・・・

最後に一文。

地の文でユリーがアイの死を受け入れられず暴れていたときの描写

え?それ?

って思うかもしれませんが初見で読んだ時点で決めてたんでコレ
げるげるってなんだよ!?って思っちゃった時点でこれ・・・いや、マジなに・・・
次点は

”えへうふへうふ二人は笑う”

って地の文だったりする・・・いや・・・なんか妙に気になっちゃってね・・・
まぁ真相は色々なセリフがしっくりきすぎて1つに選べなかったんで
どうせならもうセリフじゃなくていいじゃないという発想からなんですが

傷持ち(スカー)とかユリーとかディーとかウッラとかターニャとか
ナインとかアリスとかアイとか・・・ちょっとみんな頑張りすぎだって・・・

”ユリーはぐるぐるぐるぐるする。

 心がでろでろでろでろする、

 魂がべきべきで、

 未来がぐにゃぐにゃで、

 自分がげるげるげるげるする。”
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